【技術の物語|Episode 1】 水から始まった挑戦

この技術の物語は、
空調でも、ヒートポンプでもなく、
「水」から始まりました。
地下水膜処理によって、水道料金を削減する。
私はその事業の企画と統括を担い、
一つのビジネスを立ち上げました。
やがてそれは、年商50億円規模へと成長します。
そして大手グループがその事業を吸収しました。
成功。
しかし、それは終わりではありませんでした。
その後、私は一人の優秀な若者と出会います。
彼は、新潟の社員1万人規模の企業が公募した
新規事業制度に挑戦し、
8次審査を突破しました。
資本金3,000万円の子会社が立ち上がります。
目指したのは、
地下水膜処理の“汎用化”。
家庭でも使える仕組みへ。
しかし――
安全性の壁。
大企業幹部の慎重論。
この構想は、ここで挫折します。
だが、私は諦めませんでした。
そのグループの大型施設を調査すると、
見えてきたのは、水道代よりも
空調と給湯のエネルギーコストの大きさでした。
そこで私は考えます。
地下水は、年間を通して約15度。
この“安定した熱”を使えないか。
当時、地下水ヒートポンプには補助金がありました。
国内メーカーでは差別化できない。
ならば世界から探そう。
そして、イタリアのメーカーにたどり着きます。
私は社長に手紙を書きました。
「日本市場には、あなた方の技術が必要だ」
その夏。
イタリアから社長と営業責任者、
技術役員の3名が来日します。
現場を見た彼らは、即決しました。
日本の輸入元契約。
卸特価の取得。
オリジナルシステム構築。
1億円規模の設備導入。
補助金採択。
ゼネコン研究所へのモデル導入。
ニュービジネス大賞。
政府系銀行の資本参加。
夢は、形になり始めました。
しかし――
成功が見えたとき、
別の壁が立ちはだかります。
つづく



