多段式熱交換ユニットによる再生可能エネルギー 地中熱を活用した新型省エネ空調

<大量換気と省エネが同時に求められるwithコロナ時代の空調:地下水空調>

新型コロナウィルスと人類の闘いが始まって以来、空調分野では「換気」の徹底が叫ばれてきた。換気を増やせば、空調容量もエネルギーコストも大幅に増加する。いかにコストを抑え省エネ化しながら換気を行えるかが、withコロナ時代の空調の課題である。

当社ではこれまで、再生可能エネルギーである地下水を熱源とした超省エネ型空調を開発・販売してきた。地下水は日本では季節問わず15℃前後で安定しており、そのまま冷熱源として用いることができる。暖房においても、補助的に直接利用したり、ヒートポンプ熱源として間接的に利用したりすることで、大きな省エネ効果が得られる。例えば一般的な業務用エアコンと地下水クーラーで冷房コストを比較した場合、地下水クーラーはおよそ1/10のコストで済んでしまう。

わずかな消費電力で大量の冷風を供給可能。この特性は、大量換気が求められる現代の空調に最適なものである。しかし、普及にはいくつかの誤解を含む課題があった。

地下水空調の問題①地下水確保と水質

まずは地下水確保と水質の問題である。安定的に地下水が確保できるか。また鉄分やミネラル分による配管目詰まり・腐食は大丈夫なのか。この点は、当社エンジニアが長年地下水利用システムに携わってきたノウハウを活かし、地下水の安定性評価、及び独自の水処理技術の導入によって概ね解決できるようになっている。

地下水空調の問題②水量と湿度

つぎに水量と湿度の問題である。一般的に水を利用した空調としては、気化冷却による冷風機が知られている。この方式は常温の水を循環利用し、気化時の潜熱で温度を下げている。しかしこの方式では空調をかければかけるほど湿度が上昇してしまう。また衛生面でも問題がある。

地下水空調の問題を解決できる弊社の滴下式地下水クーラー

当社では大別して2種類の再生可能エネルギーを利用した地下水クーラー方式を開発しているが、そのうち気化式冷風機に近い方式として「滴下式(かけ流し方式)」が存在する。この方式の独自性は、地下水をかけ流し利用できる点である。衛生的であるだけでなく、冷たい地下水に直接空気が接触し、効率よく冷却可能となる。気化量も気化冷風機に比べ圧倒的に少なく、快適性が高い。また使用水量も極めて小さく、少量の地下水で運用可能である。

<独自の多段式熱交換ユニットによる理想的な超省エネ換気空調>

「滴下式」のほかにもう1つ、「ラジエーター式」と呼んでいる再生可能エネルギーを利用した地下水空調方式がある。これは自然エネルギーである地下水を高耐食ラジエーターに通水して間接的に熱交換するもので、滴下式に比べて水量を要するものの、吹出温度はより低温で、何より高い除湿効果を持っている。ラジエーター式は一部の地下水空調で用いられてきた方式だが、耐久性と、使用水量の多さに課題がある。当社の場合、前者は材質と水処理技術で克服したが、使用水量には改善の限界があった。

そこで理想的な地下水空調方式として近年開発したのは、滴下式・ラジエーター式それぞれの特徴を組み合わせた「多段熱交換ユニット」である。次の図は多段利用の一例であるが、まず前段の滴下式パッドで、少量の地下水により一気に気温を落とす。後にラジエーター式パッドで最終的にエアコンレベルまで冷却&除湿を行う。この組み合わせにより、わずかな水量と最小限の電力で、エアコンと同等の空調が大風量で可能となった。使用水量が少ないことで、地下水がまったく運用に適さない地域でも、小型チラーで運用できるほどである。更にラジエーター式は他のあらゆる温熱源を用いることができ、廃熱や太陽熱などの再生可能エネルギーを利用しながら暖房にまで対応する。

この多段熱交換ユニットによる空調は、様々な工場や大型施設に導入が進んでおり、これまでの空調設計の常識を覆すものとなっている。現在は更に、全熱交換の思想を取り入れた排気熱回収式の多段熱交換ユニットも開発されている。

再生可能エネルギーを利用した空調設計はお任せください

空調設計は施設ごとに最適な方法が異なり、上記の概論だけで成立するものではない。特に当社では熱源自体から設計を行い、多段熱交換についても運用状況によって最適なものを提案するようにしている。関心を持って頂いた場合はぜひ積極的に相談してほしい。

工場の吸排気熱回収システムのイメージ

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