Use of thermal storage to reduce the capacity of air conditioners
地球温暖化防止などから,電力負荷平準化が社会的ニーズになってきています。これに対する民生分野における有効な対策として,昼間の冷暖房に必要な冷温熱を,前夜に造り蓄えておく蓄熱式空調システムが注目され,その普及・促進がはかられています。
躯体蓄熱システムとは、新しい空調システムの一つで、夜間の安い電力を利用して、ビルの躯体を温めたり冷やしておいて、昼間の冷暖房をまかなうシステムです。外断熱と駆体蓄熱の併用は、建物全体に外断熱を施して熱負荷を小さくし、躯体の熱容量を最大限に生かすシステムです。外気を利用すれば、自然エネルギーを躯体に蓄え、利用することができて、省エネルギーを図ると同時に、室内の温熱環境を改善します。躯体蓄熱システムは、比較的新しい空気調和設備の方式で、躯体の大きな熱容量を利用して蓄熱できるため、熱源機器の容量を小さくできるというメリットがあります。
躯体とは,床スラブ,梁,柱,壁などの総称です。蓄熱体としては,主として床スラブが利用されています。冷房蓄熱では,床スラブを夜間に冷やして冷熱を蓄え,昼間の空調運転時に,暖かい室内空気と床スラブとで熱交換を行い,蓄えた冷熱を取り出すことにより,昼間の空調供給熱量を低減させることができます。暖房蓄熱の場合には,これと逆の熱の与え方を行います。躯体蓄熱システムは蓄熱体の設置スペースが不要であることがほかの蓄熱システムと違う利点です。
事例として躯体蓄熱システムは,夜間に床スラブへ熱を与えるやり方によって,3つの方式に分けることができます。夜間に下の階の天井内を冷やして床スラブに冷熱を蓄える方式,当該階のOAフロアを利用して,夜間にOAフロア内を冷やし,床スラブに冷熱を蓄える方式,冷温水パイプやダクトを床スラブ内に埋め込み,スラブ内部から冷やし,冷熱を蓄える方式です。要点はSHF*を下げることにより、空調機からの吹き出し温度を下げずに済み、空調機の冷却能力を下げることができるのです。
*SHFとはSensible Heat Factorの略であり、顕熱比を意味する。顕熱比とは全熱に対する顕熱の比率を示す。